諏訪圏工業メッセ探訪 content-12

輝く伊那谷の技術、諏訪圏工業メッセ探訪

 地方開催のものづくりの展示会としては全国最大級の「諏訪圏工業メッセ」。7回目を迎えた今年も長野県内外の262社が参加したが、伊那谷の企業も多数参加した。上伊那の出展企業から日々変化を遂げる技術力や発想力に迫った。


バラエティー持たせ、何でもできる技術をアピール

 メッセ・テクミサワ

テク・ミサワ(伊那市)

 カーオーディオやセンサーなどに使われる精密金属加工を主力にチタンなどの難削材の加工も得意とするテク・ミサワ。自動車業界の不況をはじめ厳しい状況に変わりはないが、そこで生き残っていくために「納期などもシビアになっているが何にでも対応していくのが我々の姿勢」と三澤俊明社長は話す。
 メッセのブースには所狭しと同社製品の一端が並び、「何でもこなしていくことによって、その中で大きく化けていくものがある」と社長。環境の時代にあって、エコ的な製品を下支えする部品類はさらに重要性を増してくるとも考えている。
 エコを標ぼうするガス機器に取り付けられるマイコン制御部品。余分な火力をコントロールし、環境にやさしいことも打ち出すものだが、同社の技術はその根幹を成す部品にと生かされている。


ミクロン単位の超高精度微細管、医療をはじめ各分野が熱視線 

 メッセ・ナンシン
 

ナンシン(飯島町) 

 光ファイバーのコネクター技術を応用し、ミクロン単位の超高精度微細管を開発したナンシン。レーザー用の照射口として医療器具に用いられるなど、技術確立からまだ日は浅いが日進月歩の進化を遂げる。従来の切削加工では実現できない寸法精度は、光ファイバーで要求される高い技術に裏打ちされる。
 メッセのブースでは、その技術力に足を止める業界関係者が多数。内径50ミクロンを実現する微細管に目を凝らした。同社営業部リーダーの酒井龍二さんは「新しい技術だが、それだけに今後さまざまな分野への用途も期待できる。医療系でいえば検体を採るノズルなどにも活かせそう」と話す。技術系のレーザー装置への導入なども始まっており、ユーザーのニーズにあわせた生産対応を可能にする。
 今はひとつのパイプに穴は一本しか開いていないが、今後は複数の穴を開けるなどの技術開発も進め、用途の幅を広げていく。


さらなる高耐食性、均一性求めて、高度なアルマイト処理を実用化

メッセ・伊那金属工業

伊那金属工業(伊那市)

 自動車や家電の部品類をはじめ幅広く硬質アルマイト処理を手がける伊那金属工業。従来よりもさらにサビの発生を抑制する高耐食性封孔アルマイト処理を新たに開発、実用化に成功した。アルマイト処理は耐食性にすぐれているのが特長だが、さらにサビが発生しやすいような厳しい環境への適応力も高めている。
 メッセでは、その高耐食性に着目し、複数の引き合いがあった。「水中で用いるものへの話しもあった」と同社技術担当の平澤泰忠さん。今年導入したばかりの自動キャリアタイプの硬質アルマイトラインも同社にとって大きな武器になっている。
 処理品内の膜厚にばらつきが多かった旧来の硬質アルマイト処理だが、処理方法を改良して均一の膜厚も実現し、ユーザーの高い要望に応えていく。
 

より実際に近い試作品に、3次元CADのデータ活用して

メッセ・イクシス
 

イクシス(箕輪町)

  ドライヤーや電気かみそりなど日常的に手にする家電製品。より使いやすくデザインされたその形状は、試作品によって日々改良が続けられている。イクシスは家電をはじめ車の内装関係まであらゆる試作品を提供。三次元CADも活用し、より実際に近いものを短期間で納品してる。
 液体の上から紫外線をあてる従来からの光造形工法。機械も新しくなり、納期の短縮につながっている。また、3次元CADでスキャンしてデータ化する技術も確立。たとえば人の実際の動きをデータとして取り込み、ギブスや補助器具など医療分野をはじめとした新たな分野も開拓する。「実際に近い動きを再現することで、体に当たったときの違和感などを細かく分析できる。新たな使い道も広がっています」と同社技術営業部マネージャーの笹崎健一さんは話す。
 他社にできないものをさらに追い求めていく企業理念。メッセ会場でも、スピードと高い技術力を発信した。


全自動化で幅広いニーズに素早く応えて、中国との生産強化も

 メッセ・南信化成

南信化成(伊那市)

 精密プラスチックの射出成形をてがける南信化成。主力としてデジタルカメラに欠かせないズームユニットも扱い、プラスチックレンズという特殊加工も徹底した品質管理で製品を供給している。エアコンをはじめ自動車関係部品の仕事も増えており、幅広い分野でプラスチックの可能性を追い求めている。
 中国にも工場を持ち、難易度や生産量、納期などですみわけを図る。同社取締役の塩谷武さんは「今後はさらに中国との生産面における連携強化を図っていきたい」と話す。
 家電製品は製品自体のライフサイクルが短いため、部品製作の全自動化を進めるにはリスクも伴う分野でもあるが、蓄積した多くの技術を活用して全自動化を積極的に進める。
 さらにプラスチックだけでなく、金具まで一貫して取り付けられるように開発も進む。メッセ会場でもそのたゆまぬ技術開発をアピール。幅広いニーズに対応できる柔軟な企業姿勢が光を放った。


24時間操業で短納期全国配送を実現、ハイレベルな生産管理で

メッセ・東信鋼鉄
東信鋼鉄(箕輪町)

 特殊鋼の商社として出発し、現在では加工専用機を導入して24時間体制で日産1万個の一次加工処理した鋼材(カスタムプレート)を産み出す。日本全国へ迅速に配送するシステムを持ち、安定供給と短納期化を実現する。
 「もともと商社という出発点から、在庫を大量に持っているという強みがある」と同社の担当者。昭和42年からは処理加工もてがけ、より顧客のニーズにあった商品を提供している。県内のほか、東北や新潟などにも拠点を持ち、直送するシステムを構築。24時間の稼動体制で相手先の指定にそってマシニング、熱処理、研磨などの一貫体制で加工を施し、翌日、翌々日の早期に納入する。加工ノウハウの熟成により、さらに二次的な処理へとニーズも高まっている。メッセ会場でもそのハイレベルな生産配送管理システムをPRした。
 

純銀使用の精密ろう付けをアピール

メッセ・マスダ
マスダ(宮田村)

 内視鏡や顕微鏡の精密部品製造と精密板金の技術を誇る宮田村のマスダは、2008年諏訪圏工業メッセ出展の目玉に純銀を使用した精密ろう付け技術を据えた。特に医療器具関係に必要とされる技術で、一般のハンダなどに比べて格段に人体に影響の少ない純銀を使用し、更にそれが酸化して劣化しないよう、真空の中でろう付けし、水素炉の中で焼きつけるという手の混んだもの。
血液や液体の薬品などを体内に送り込む器具の場合には、パイプをパイプに接合することが必要になるが、その接合技術がろう付け。体内に入れることもある小さな医療器具では、それ自体が精密技術になる。既に、同社の技術はその領域では定評があったが、更に純銀使用で差別化をはかったと増田英樹東京営業所長。
「ろう付けだけでなく精密板金もかなりの注目を集めている」と居合わせた下島賢治技術顧問は話した。


 1670万色が可能なLED照明

メッセ・アルゴル
 アルゴル(南箕輪村)

 
 高速精密画像処理検査装置で業績を上げている南箕輪村のアルゴルは、得意の画像処理検査装置のほかに、今回、1670万色の色合いを出すことが可能なLED照明装置を出展した。パソコンに搭載したシステムと結びつけることできわめて微妙な色の違いを作り出すことができる。画像処理のための光源としてLEDを開発してきたが、その過程で発光色を自由自在に作り出すシステムを確立。「画像処理と結び付けなくても、それ自体で何か需要があるのではないかと思い出展した」と今井博充社長は話す。興味を持って話をしに来た客の中には、「発芽実験で発光色の違いを簡単に作り出せそう」「美術写真の撮影の際に色合いを鮮明する照明にならないか」など、様々なアイデアを提案して今井社長と話し込んでいた。
 同社は、諏訪圏工業メッセの第2回から出展しており、今年で6回目。その場で直接引き合いがなくても、着実に諏訪の客が増える結果を生み出しているという。ブースには有機EL研究の権威である信州大学繊維学部の谷口彬雄教授なども顔を見せ、活気があふれていた。


難削材で差別化図る

メッセ・ハイデックス
ハイデックス(伊那市)

 伊那市西春近の精密部品製造ハイデックスは、耐熱耐蝕性が高いが固く粘り強い性質があり加工しにくい素材インコネルや、同じく加工がしにくいSUS(特殊ステンレス鋼)316、SUS304、チタンなど、難削材の加工技術をメインに据えて出展した。展示されていたインコネルの部品は最先端の戦闘機F15に使用されているものとかで、「そこに一応、現在のわが社の技術的到達点が示されている」と赤羽秀樹社長は話す。
 同社は、これまで半導体関係の0.05~0.5ミリの微細穴加工(金属にきわめて細い穴を空ける技術)や、複雑なアルミ切削技術などを展示してきたが、航空機関係の需要が高まっている中で、航空機に必要な難削材関係に特化して、ものづくり企業としての差別化をはかっている。「インコネルなどは材料の性質の研究からしなければならなかったから、大変だけど面白い」と赤羽社長。


客とつながる販売戦略を支援、媒体結ぶ「クロスメディア」で 

 メッセ・小松総合印刷
小松総合印刷(伊那市)

 これまで一方通行になりがちだった印刷に、送り先からの反応を追跡できる仕組みづくりも構築してきた小松総合印刷。双方向性と即時性をあわせもつweb、視覚に訴える映像メディアなども有機的に組み合わせ、各種分析をしながら販売促進につなげるのが同社の「クロスメディア」の理念だ。BtoBでビジネス展開する製造業には特に最適なシステムとして、その有効性をメッセ会場でアピールした。
 インターネットが普及し、情報なくしては受注拡大も見込めない時代にあるが「企業、特に中小製造業はホームページを公開するだけで、その次のステップに進めていない場合も多い」と第一営業部の北原春樹部長。
 そこで同社はホームページアクセスを解析する「BizVein(ビズべイン)」を開発した。webサイトを訪問した企業を追跡・特定し、新たな顧客獲得への第一歩につなげるシステムだ。閲覧ページ、アクセス時間、リピート回数などにまで解析は及び、ユーザーの興味、関心がある部分を明らかに。営業効率は格段と高まり、BtoBのビジネスを強力に支援する。
 動画配信機能を既存のホームページに簡単に導入できる「見て!tube」も更なる訴求力と情報の多様性を追加するシステム。ホームページを簡単に制作、更新できる「らくだねっ!」も用意し、経費の低減も実現する。「webを活用したBtoBのビジネスはまだまだ未成熟。さらに広がっていく余地があり、我が社としても支援していければ」と北原さんは話す。
 
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